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博士宛の手紙[送り主不明]

博士が残した研究室で、博士宛の手紙が見つかりました。送り主は不明ですが、内容をここに共有します。




拝啓 博士殿


もしこの手紙があなたの手に届いているとすれば、それは私の予想以上に、この世界がまだ小さな奇跡を起こし得るという証なのでしょう。


あの夜、観測室で交わした最後の会話を、私は今でも思い出します。あなたが語った「境界のぼやけた世界」の話。それは比喩ではなく、あのとき既に、あなたの視野の中に別の時空が滲んでいたのではないかと今になって思います。


あなたが突然姿を消したあの日から、私はあなたの残した研究ノートと沈黙に耳を澄ませる日々を送っています。答えの代わりに浮かび上がってきたのは、無数の未解読の記録、そして幾つものmicroplanets。それらはまるで、あなたの足跡そのものであるかのようです。


私は信じています。あなたがまだ、どこかで「観察」を続けていることを。そしてこの手紙が、かすかでもあなたの心に届くことを。


どうか、無事でいてください。この世界の片隅から、私の観測は続きます。


敬具

―― 送り主不明



 
 
 

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